VA-11 Hall-A を遊んでいる。結論から言うと最高。
初回のエンディングを見たあと、ついでにバッドエンドも回収し、ニューゲーム+を開始したところ。
もしあなたの直感が "Cyberpunk Bartender Action" という謎の言葉に反応したら、その直感は正しいので今すぐ買いに走るべきだ。PSVita, Windows, Macで遊べる。DL版のほうがちょっと安いけど、どのみち酒やおつまみ等の物理追加コンテンツのほうが高くつくので、ゲーム本体は誤差みたいなものだ。
プレイヤーはバーテンダーとなり、カクテルを作ったり客と話をしながらストーリーを進めていく。実際はアクションというよりノベルゲームだが、
飲酒するアニメキャラが好きなのだが、アニメの飲酒シーンって大抵なんか大げさなんだよな、と感じていた。あんなに急に酩酊しない。おれはアニメキャラがちびちび飲んで自然な酔い方でくだらない話をするのが見たいのだ。そういうモヤモヤの解消にはこのゲームがぴったりだった。なにしろバーが舞台なので、登場人物はほぼ例外なく酒飲みだからである。
どこをどう見ても日本人が作っているようにしか思えないが、開発はベネズエラのスタジオだそうで、だいぶ驚きがある( "コタツ" を目にしてさらに驚く)。加えてローカライズがとても自然で、プレイ中はまったく違和感がない。オリジナルと是非比較したいのだがそんな語学力はないのが悔やまれる。
バーに訪れる人々はそれぞれ悩みを抱え、主人公のジルもまた大きな悩みの種を持っている。客と従業員という立場上、互いの悩みにそこまで深入りするわけでもなく、付かず離れずの距離感が心地良い。
こうした世界観がしっかりしているゲームでよくあるのは、設定を理解させるために序盤から大量のテキスト(手紙、メール、辞典etc)を読まされることである。こうした文書では、その世界の人々にとって善いことなのか悪いことなのか掴みにくい。その点、本作は殆ど会話をしながら世界観や価値観を知っていけるので、導入が非常にスムーズ。
また、世界観をゲームプレイに巧みに利用しているとも感じられた。カクテルは5種類の材料の組み合わせで作られるのだが、冷静に考えたら材料が少なすぎる。だが「ま、近未来だし、なにか得体の知れないドリンクをカクテルと呼んでいるのだろう」と都合よく解釈してしまえる(なにせビールもこの5種類で作れてしまう世界なのだ)。
あとBGMが大充実しており、そのどれもが良い。音楽には絶対の自信を持っていることが伺え、仕様として ジュークボックスで12曲選ばないと仕事を始められない ことから、大半のプレイヤーが全曲聴くことになる(その試聴にフェイクのロード時間が挟まる演出がニクい)。サントラはSpotifyにあるから毎日バーテンダー気分になろう。
秋の夜長に好きな酒を飲みながらちびちび楽しめるゲーム。2日3日あれば1周できる程よいボリュームだった。