年越しのお供は決まったかな
毎年恒例*1、今年遊んだゲームのなかから特に良かったものを振り返る(感想なので順位はつけない)。記事公開時点でちょうどSteam年末セール中でお得。
- SnowRunner
- Half-Life: Alyx
- Mafia: Definitive Edition
- Life is Strange 2
- Ori and the Will of the Wisp
- Carrion
- Heart of the Woods
- Highway Blossoms: Next Exit
- ぬきたし2スス子ルートアペンド
- Elder Scrolls Online
- シロナガス島への帰還
- Cyberpunk 2077
SnowRunner
倒木・冠水・断崖絶壁・がけ崩れ・積雪・凍結と地獄のような悪路を走破し、「誰だよこんな場所に配送先指定したのは……」と愚痴の一つもこぼしたくなる山奥に資材を届けるゲーム。ETS2もそうだけどこういう地味なドライブシムがやっぱり好きだ。ドライバーの皆さん、いつも配送ありがとうございます。
NPCが出てこないため、ソロプレイだと見知らぬアラスカの土地で孤独に奮闘する外国人労働者の気分になれる。困っても誰も助けに来てくれない。頼れるのは己の腕とクルマのみ、心を落ち着けて大自然と格闘するまさにZenゲー。
特にかっこよくて気に入ってるポイントは、操作系が右スティックでシフトレバー操作になっている*2こと。がちゃがちゃ動かすロマンがある。
Half-Life: Alyx
「今やっておかないと後悔する」と各所で絶賛されていたので若干冷めた目でプレイし始めたが、なるほどこれは熱中したし、数年後の当たり前になるので今やっておく理由があると感じた。
当たり前とは何かというと、ガラスを割って窓から入ったり、空き缶をゴミ箱にシュートしたり、バスタブに意味なく浸かってみたり、戸棚の日用品を片っ端から手にとって眺めてみたり、飽きたらどのくらい遠くまで投げられるか試してみたり、状況に応じてとれるインタラクションの現実味のこと。AAAタイトルを通してVRでどんなを体験を作れるか示すための研究成果とも感じる。
VRの入り口になるべく作られたであろうこともあってか、酔い防止に相当配慮されていることが、酔いやすい自分には有り難かった。最も酔いにくいとされるワープ移動方式でプレイしていて全然平気。また、酔いの原因となる「急に体の自由を奪われる演出(突然足や腕を掴まれる等)」がほぼないため、陰鬱な世界を一人で歩き回る中でもある意味で安心できた。
僕はOculus Quest 2にVirtual Desktopをインストールし、母艦のPCから映像をストリーミングしてプレイしている。こうすることで完全ワイヤレスで遊べる。ケーブルがないだけでこんなに開放的な気分になれるのかと思った。時間帯によってWi-Fiでの映像が多少不安定になるが、プレイにさほど支障はない。むしろワイヤレスVR体験の快適さを前にすれば些細な問題だ。
Oculus Quest 2—完全ワイヤレスのオールインワンVRヘッドセット—64GB
- 発売日: 2020/10/13
- メディア: Video Game
Mafia: Definitive Edition
リメイクだけどオリジナルはプレイしてなかったので、先入観なしにストーリーを味わえた。ドラマのようにマフィアの栄枯盛衰をテンポよく追体験できるのが一番の魅力で、「オープンワールドなのに1本道」の珍しいデザインが非常にうまくマッチしている。リニアな骨太のストーリーがあれば他はいらないっていう割り切りが潔くて良いよね。
オープンワールドでありがちな「目的地へのナビ表示が世界観から浮いてる問題」への解答として、「フィールド上に道路標識を模した案内板が勝手に立つ*3」アイデアが盛り込まれていて膝を打った。
Life is Strange 2
ティーンエイジャーの悩みに焦点を当てた前作と違い擬似親子の物語で、切羽詰まった状況でプレイヤーの道徳観をバシバシ問うてきて、やっぱりこのスタジオの物語は好きだなあと思った。
このスクリーンショットのように、会話イベントなのにプレイヤーがボタンを押すまで誰も喋り始めないシーンがしばしば挟まるのが本当リアルでたまらない。話し相手によって居心地のよい無言もあれば、気まずい無言もある。会話とは会話してない時間も含めて会話なんだねと気付かされる。
今年配信された「Tell Me Why」ではより複雑で繊細な題材を選んでいて、ますます読み解き甲斐がある。「Tell Me Why」はまだプレイ途中でこの記事に間に合わなかった。
Ori and the Will of the Wisp
たとえ死にまくっても、オリの幻想的な世界で冒険するのは最高に楽しい。メトロイドヴァニアに思い入れのない自分でも熱中できてしまうのは、多彩なロケーションによるところが大きい。溜息の出るほど美しい夕焼け、不気味な沼地、砂漠、そして前作より更に磨きのかかった凶悪なトラップたち。
スクリーンショットを見返すと、巧みな遠近感の表現が印象的だったのを思い出す。4Kとかそういう高解像度でプレイするゲームは、ボケてる部分とシャープな部分の対比がより豊かに感じられて嬉しい。
あと忘れてはいけないのが壮大なサウンドトラック(Spotifyにある)。Steamアワードのベストサウンドトラック賞はHelltakerに投票したけどOriも本当によかった。
Carrion
謎の触手生物「触手くん(誰が言い出したかわからないが)」を操作して人間共を喰いまくる逆ホラーゲーム。自分が襲う側なので怖くない。しかし人間様の銃器に攻撃されたら簡単にやられてしまうため、基本物陰でじっとタイミングを伺い、短期決戦で仕留める。で、ふと自分のプレイを客観的に見ると映画のクリーチャーの動きだこれ……。とまんまと気づかされるのがクスリと笑えた。触手くんも楽じゃないんだね。襲う側の悲哀をたっぷり感じたい方におすすめ。
Heart of the Woods
Kickstarterでバックしていたボイスアップデートが今年登場し、大喜びで読んだ。百合パワーで悪を討つ現代的おとぎ話が、ボイスによって魅力マシマシに映る。バッカーにはDLCのアートブックもついてきて良かった。
Highway Blossoms: Next Exit
本編の魅力を違った角度から引き立たせる素晴らしいDLC。新キャラ登場によって気まずい三角関係になるかと思いきや、「めっちゃ良い人枠」Cassiによって、より既存キャラの内面的成長にフォーカスが当たっていた。これが読みたかった。
本編で散々聴いたにもかかわらずサントラも買っちゃった。
ぬきたし2スス子ルートアペンド
ことし最も有意義な100円の使い方*4。
散々笑って最終的になぜか感動できる前作のアペンド。これまでの出来事を自在に使ってぬきたしユニバースを総括する、鮮やかなオチが待っていた。知りたかった出来事がキレイに回収され、これでようやく心落ち着けて余韻を噛みしめられる。……いやもっと色々な展開を読んでみたいのが本音だなやっぱ。
スス子は「2」で登場し、人懐こいのに統率力のあるハイスペックサブキャラ、とルートがないのがあまりにも勿体ない存在だった。このアペンドで遂にスス子の掘り下げが行われて、しかもこれまでのキャラにもちゃんと出番がある。特に三銃士の放課後のダベりが読めたのがすごくよかった。わかりて御膳。もはやスス子と関係ないところも没頭して読めちゃうし、この居心地の良さからなかなか卒業できずに再び本編を読みはじめてしまって、さて他の積んでる作品どうしようかと困っている……。
次もこの値段でFDを、とは微塵も思ってないので、適切な値段で売って欲しい。むしろスス子アペンドは安すぎて何かの冗談と勘違いして、あやうく見逃すところだった。
Elder Scrolls Online
今年はなんといってもスカイリム地方で冒険できる新チャプター「グレイムーア」が最も興奮する出来事だった。ディレクターからのメッセージにあるように、2020年という困難なときにオンラインゲームは安全な避難所としての役目を果たしたと思う。ちなみにこの手紙ではパフォーマンスに問題があるとして謝罪の言葉もあるが、PvPをやらない自分からすると快適そのものだし、壮大で精巧な世界に驚かされてばかりだ。非常に面倒そう大変そうな完全日本語化を遅れなしに仕上げるローカライズチームにも感謝の言葉しかない。
2021年からの新章は満を持してオブリビオンが登場する。それまでに残りのクエストをやっておかねばな……。
シロナガス島への帰還
2018年に頒布された同人ゲームで、今年Steamで配信が始まった*5。作者の性癖が凝縮したキャラクター達の魅力と、手に汗握るミステリーの魅力で、続きが早く知りたくて一息にプレイした。
クリアし終えた後にアップデートがあり、とてつもなく高解像度化された。確認できる限りすべての立ち絵とイベントスチルに「目パチ」のアニメーションがあるだけに、置き換え作業は相当大変だったのではと苦労を想像してしまう。今から高解像度でプレイする人が本当にうらやましいぞ!
Cyberpunk 2077
8年前から待ち続けた甲斐は存分にあった。じっくり噛み締めているので、たかだか50時間かそこらのプレイでは、未だまったく底が見えない。
物語主導型のゲームプレイは期待を遥かに上回って最高。過剰な資本主義を戯画化した、要するにサイバーパンクと聞いて想像するどうしようもない世界で、みな生きるため必死でもがいている。そんな世界で自分なら他者とどう関わるだろう? と真剣に悩むのは夢のような時間だ。1人称視点で相手の表情がよく見えるのも影響しているのか、出会うキャラクター達は敵も味方も生き生きと人間らしく描かれ、たまらなく愛おしく感じる。AIタクシーにすら奇妙な友情が芽生えている。
PC版で前述のゲームプレイ中、一度もクラッシュや進行不能バグを経験していない。なので史上最も没入できるサイバーパンク映像体験を驚くべき安定性で遊べている……というのが率直な感想ではある。一方でコンソール版の不出来も、PS4 / PS4 Pro実機でクラッシュの多さを実際見ているため承知している。CDPRが伝えたかった物語がきちんと届く状況に至っていないことを残念に思う。
ここに書かなかった中にも良かったタイトルは色々あった。過去記事や「ゲーム」カテゴリを参照されたい。
- 2020年1月〜3月で遊んだゲーム所感: ヤクザとピクトグラムとフェイクニュースと死んでるヒロイン - SANOGRAPHIX Blog
- 2020/4〜6月ゲーム所感: 道徳フィールドワークに監禁暮らしと尋問バトル - SANOGRAPHIX Blog
また、面白いけどクリアに至っていなかったり、まだろくにプレイできていないタイトルも同様に色々残ってしまった。Ghost of Tsushima は未だ仇を取れず、 Microsoft Flight Simulator もチュートリアルで飛行訓練中、Chicken Police や Gears Tactics は起動もできていない……。当面はサイバーパンクを優先して味わい尽くしたい。