SANOGRAPHIX Blog

京都を拠点に活動する佐野章核 (sanographix) の個人ブログ。日記、webデザイン、読書、写真など。

いま敢えてバックパックを買うと、旅行できないストレスが若干ましになる

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「旅行するとお得」より、不安の気持ちが拭いきれず、結局去年の2月を最後に、旅行することなく家で過ごした。出かけるといえば買い物か、たまに人気ひとけのない近場に写真撮影に行くくらい。自分が主催するイベントも中止して、振替日の見通しは立っていない。

しかし出かけるのを理不尽な理由で我慢せざるを得ない状況は、明らかにストレスが溜まる。そこで、いまは次の旅に向けて装備を整えるフェーズと思うことにした。そうだ、バッグを買おう。

なお、この記事の写真は緊急事態宣言前に撮影しました。

One Bag Travel

「One Bag Travel」という概念がある。これは、機内持ち込みサイズのバッグひとつだけを持って旅行する態度というか信条のこと。たとえ長旅であってもスーツケースを持たないので、空港のベルトコンベアで荷物待ちする時間をまるごとスキップできるうえ、ロストバゲージのリスクをゼロにできる。旅先でもスーツケースを引きずらない、身軽な行動が可能だ。

巷のバックパックは、このOne Bag Travelを想定しているか否かで、サイズから構造、機能までまったく違う。たとえば、機内持ち込み上限ぎりぎりのサイズに設計されていたり、クラムシェル型と呼ばれる、スーツケースのようにガバッと全開できる内部構造を持つ点が目立つ特徴。

一昨年からこのカテゴリのバックパックを情報収集しており、購入したのが「Tortuga Setout Backpack 35L (Men's)」だった(本記事で紹介するバッグとは別。こっちも後日記事にしたいと思っている)。実際にこのバッグでスーツケースを持たずに旅行することに成功した。もっとパッキングの経験を積みたかった矢先、渡航禁止になってしまい試せていないのが悔しい。

そのSetout Backpackは素晴らしいバックパックだが、普段から使えるかはちょっと怪しい。169cmと男性平均身長より低い自分が背負うと、「家出かな?」みたいなサイズ感になる。なので、普段背負って違和感のないサイズで、1〜2泊くらいの小旅行にも使える、生活にも遊びにも仕事にもフィットするバッグを探した。この条件でネットで調べて見つかるバッグは全部検討した*1が、結局選んだのは「Tortuga Setout Laptop Backpack」だった。おいおい同じブランドの同じシリーズじゃねーか、どんだけ好きなの、とセルフツッコミを禁じ得ない。

どんなバッグ

Setout Laptop Backpackはこんな開き方をするバッグ。

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もう「君の好きなように使ってくれ!」と声が聞こえてきそうなほど無の空間が広がっている

いきなりご開帳の写真から始めてしまったが、前面・背面はこんな感じだ。

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まだ使い始めたばかりなので前面がシワになってるのは許してほしい

いろいろ試して実感したことだが、変に小物入れが沢山あったり、決まった用途だけにしか使えない空間があるバッグは、結局持て余すし、持ち物が変わったときに対応しきれない。だから、このくらいシンプルすぎるくらいシンプルな構造のほうが、パッキングを自分で工夫する余地があって使い勝手が良い。

Tortugaのバッグは、見た目こそゴロッとしていて、いまいちスタイリッシュではないかもしれない。が、旅用バッグを使ううえで絶対に妥協できない部分を確実に押さえている、「わかってる感」が際立っていると思う。以下に詳しく書いていく。

背面の通気性

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改めて横から見るとすごいボリュームだ

一見かっこいいバッグも、背面が平坦だとガッカリしてしまう。なぜなら、フラットな背面は汗が逃げずビショビショになりやすく、背中が気持ち悪くなってしまうからだ。

上の写真のように、Setout Laptop Backpackは背面に特厚のパッドが盛られており、通気性が確保できている。同クラスのバッグでここまで厚いパッドは相当珍しい。

ストラップの背負いやすさ

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背面と同様、ストラップのつくりもメーカーの考え方が顕著に現れる部分で、特に注目する。このバッグのストラップ素材には、また珍しいことにクッション性の高いEVAフォームが使われている。ここでも通気性確保のために穴が空いており、見た目は相当奇天烈だが背負い心地は非常に快適。

また、チェストストラップも標準で装備されている。チェストストラップを省くバッグがあるけど、これが有ると体感できるほど楽に背負えるので、体を痛めないためにもあったほうが良い*2

ポテチ開け防止穴付きYKKジッパー

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止水ジッパーではないが、そのぶん滑りはめちゃくちゃ良い。持ち手にオリジナルのマークが入っている

ジッパーはYKK製。YKKのジッパーといえば、どこのご家庭の服にも当たり前についているやつだ。しかし、その品質の高さから、旅行好きのフォーラムなどを見ていると「YKKは神」的な扱いを受けていて、だいぶ温度差があるのがおもしろい。YKKの品質が重宝される理由は、旅先でジッパーが壊れると当然ながら荷物がこぼれたり盗難に遭う危険性があるからだ。

ポテチ開けとは南京錠でロックしたジッパーを開くテクニック。誰でも簡単にできるのでやってみよう(かなりゾッとすると思う)。これを防ぐ方法は、ポテチ開け防止穴付きのジッパーを選ぶことだ。

収納

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もっかい貼っときます

先程もちらっと書いたが、メイン収納部は外観以上に体積があるように感じる。

そもそも、なぜこのサイズのバッグが欲しいのか? 普段使いならもっと小さくても事足りるのではないか? と思うかもしれない。自分の用途では「買い物の荷物を入れたいから」だ。スーパーへ買い出しするとき、自転車にカゴがついていないので、買い物袋をぶら下げて走行するのは危険なのだ。

メイン以外の収納部も紹介しておきます。

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写真左がラップトップコンパートメント。中身の黒いポーチは無関係。ラップトップとタブレットを別々に収納できる仕切りがついている。写真右は小物収納的なやつ(使いこなせていないので説明が雑)。かなり深さがあるのだが、ジッパーが上から1/3くらいまでしか開かず、正直使い勝手はそこまでよくない。もともと小物収納を使わないってのもある。

そのほか

このバッグ、不思議なことに同じ側に持ち手が2つある

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一瞬目を疑う光景

なぜ2つあるのか本気で理解できなかったのだが、厚いほうが手で持つ用、薄いほうはトイレのドアに掛ける用ではないかと理解しつつある。半分冗談みたいな話だが、先日厚いほうの持ち手を使ってバッグハンガーに掛けていたらパッドが凹んでしまい、自然回復に数日かかった。なので、荷物掛けには薄い持ち手を使うとよさそう。

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かなり珍しい、ボトルホルダーをジッパーで開く構造

また、側面のボトルホルダーはジッパーで開く構造になっており、使わないときは畳める。これもなかなか珍しい機能だ。


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こんなふうに、いつの日か次に出かけられるときに思いを馳せながら準備すると、ちょっとは楽しみな気持ちになってくるし、準備によって自信も湧くのでおすすめしたい。不思議なことに、すべてが完璧なバッグは存在するのかと思うほど見つからないが、完璧に限りなく近いバッグは懸命に探せば見つかる。そこがバッグ選びの楽しいところだ。

Tortugaのバッグは個人輸入になるので送料は高めだが、バッグ自体が良心的な価格設定(本記事のバッグは$125)なので助かる。Tortugaという会社自体もなかなかユニークで、スタッフにきちんと休んでほしいのでブラックフライデーセールはしないぜと公言していたり、ポリシーがはっきりしている印象がある。

あと身近な人と被る可能性が極めて低い。人に会ってないから被ってるか分からんがね、っていうオチがついた。

*1:次点で欲しいと思ったのがTriple Aught DesignのAxiom 24 Pack。めちゃくちゃ格好いいのだけど、かなり高価だったし在庫もなかったので諦めた

*2:ロードリフトストラップはついていない。まあ、バッグ容量的にオミットして問題ないと判断されたのだろう。実際問題ないし。ちなみに35LのSetout Backpackにはしっかりついている