SANOGRAPHIX Blog

京都を拠点に活動する佐野章核 (sanographix) の個人ブログ。日記、webデザイン、読書、写真など。

PDFの同人誌をコミケで売ったふりかえり

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先週コミックマーケット94に参加し、新刊を頒布した。今回の頒布物は物理書籍ではないデジタル版同人誌であり、弊サークルとしては即売会で電書を売るのは初である*1。実際にやってみて思うところがちらほらあった。

イベント後ウェブからも購入できるようにしたのでその宣伝も兼ねつつ振り返りをする。

新刊について詳しく

告知サイトからどうぞ:

konel-works.com

メリットデメリット

入稿締切がなく安い

印刷しなくてよいため安上がりで、締切も延びるのが直接的なメリットである。あと荷物も減る。

後から加筆修正できる

誤字脱字が見つかっても後から内容をアップデートできる。ただし、すでにPDFをローカルにダウンロードした人に対して更新を通知する方法については、スマートな方法がまだ確立していないように思う。ファイルをダウンロードさせる業態、たとえばフォント販売サイトでも同じ課題を抱えていそうに思われるが、僕がよく買ってるサイトでは時折フォント更新のお知らせメールが届く。とはいえ同人誌の頒布くらいでメールアドレスを収集するわけにもいかない。

そういえば、Kindleだと書籍のアップデート的な概念があり、最新版が手元に反映される仕組みだったはず。あいにく弊サークルはKindleではなく即売会の空気に近いSTORES.jpBOOTHを利用している。

結局何度か誤字修正を行ったものの特に読者には通知していない。

売りづらい

冊子の内容を想像しにくいため売りづらい(分かってたけど)。PDFを印刷した試し読み本を何部か用意してみたが、ここに凝ろうとすればするほど値が張るため本末転倒な感じがする。また、タブレット端末設置も検討したものの、こういうデバイスは試し読み的にパラパラめくるには操作が煩雑になりがち。2人以上ブースに来た場合に備えて複数台設置しても盗難リスクが増えるだけなので、タブレット案はやめた。

売りづらいという話で多くの人が知りたい点としては「物理書籍と電書でどのくらい売上が変わるのか」だと思われるが、今回の頒布物では比較対象が無いためわからなかった。

だが肌感覚としてコミケにわざわざ来るような層が本当にPDFを買いたいのか不明という懸念は企画時からあった。なにかしらのフックを用意せねばいかんだろうと考えていて、「ダウンロード案内用紙が賞状になっている」アイデアを軸に企画を進めた。

ふりかえり

ここからはあまり一般化できない個人的な振り返りになる。

先にも書いた「電書が賞状型」は明らかに出落ちであり、ほかとのネタ被りを一番恐れていた。幸い被ってなさそうだったことにまず安心したのが正直なところ。

物理書籍を廃したわけもこれまで書いた通りだけど、個人的な理由もちょっとある。自分のスキルセットや興味関心的な意味で、紙っぽいメディアで今後もバリュー発揮していくの、まあ無理だろうなと思っていた。サークルとして期待されてるものと違うことをしている自覚はあるが、逆にいえばそれでも新刊買ってくださる方は本当に有難い、とコミケで賞状渡しながら思った。

またしても冊子内容に触れるのを忘れた。自分の好きなものについて書いてあります。ピザポテトとか。暮らしっぽい内容を書いたつもりだけど、いわゆる上質な暮らしみたいなのはマジで逆立ちしても書けないので、そういうのは僕のテキストからは期待しないでください。ダウンロード版は(ダウンロード版しかないんだけど)、200円で販売中でございます。

https://konel-works.com/issue6/

余談で、「物理書籍」ってもともとは書籍版ニンジャスレイヤーを指したものである? 認識だけど、紙の本を的確に表現できるのでよく使わせていただいている。同じように文脈関係なく使う人はTwitter等でけっこう観測できる。

*1:厳密には過去にも付録として、冊子と同内容のPDF版をダウンロード配布していた。