MEMOGRAPHIX

sanographixの個人ブログ。日記、webデザイン、読書、写真など。

ミスりにくい説明

趣味でTumblrテーマをいくつか作っているけど、そのサポート事情について以前書いた。サポートにできるだけ労力かけたくないので、いろいろな試行錯誤や取り組みを紹介した。

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前回書いたのは、届いた問い合わせに対する取り組みだった。だが最も理想的なのは、ユーザーが問い合わせを送らずに自己解決してくれることだ。だから、サポートの返事を書いたらその要約をFAQとしてReadmeに載せるようにしている。

もし、本気で問い合わせを減らしたいなら、ユーザーのあらゆる困りごとを予測して、はじめから先回りしてFAQを超充実させておけばよい、ということになる。正論っぽいけど、趣味で1人で作っているものに対して、そこまで困りごとをはじめから想定していくのはあまりにコストがかかりすぎるし、そもそも無数のパターンを予測できるとは思えない。もしこれが命に関わる製品だったりしたら、入念にテストを行っていただろう。だが僕が作っているのはTumblrテーマだ。そこまで想定してからリリースするのは時間の無駄だと思う。まあ穿った見方をすれば、Tumblrテーマでも非常事態に閲覧できなければ命に関わると言えなくもないが、それを言ってしまうとあらゆる製品は命に関わることになるので考えないことにする。

問い合わせは、特に最近つくったTokusetsu 3やIllustfolio4に多い。GitHubのChangelogを見ると、Readmeやドキュメントを僕がちまちま手直ししている様子が見られる。

説明を分かりやすく書けば問い合わせは減るぞい、という話なのだが、当然分かりにくく書こうと思うはずはない。ケースバイケースで一番誤解なく伝わる方法を模索していくしかないと思う。

Tumblrの仕様で、「スマホで見たときには専用のテーマが適用される」というのがある。Tokusetsu 3 で告知サイトを作る場合、このテーマがあたってしまうとうまく表示されないため、必ず「スマホ用テーマを使用しない」設定をする必要がある。だが、Tokusetsuで作られたサイトを観察すると、なかなか多くの割合で設定をミスっており、以前から気になっていた。なぜユーザーが気づかないかというと、Tokusetsuのデザイン設定はPCからでしか行えないからだ。

最近Tokusetsuのドキュメントを手直しして、そうした不幸な事故を減らす取り組みを行った。具体的には、「インストール手順」説明内に、上記の設定を行う旨を組み込んだ。というのも、以前この項目は「カスタマイズ方法」内にあった。カスタマイズの字面で、「してもしなくてもいいもの」とユーザーに受け取られていたのではないかと考えたのだ。「スマホでうまく表示できなくなっちゃうから必ず設定してね」と但し書きは書いていたから、問題は起きないだろうと楽観的に見積もっていた。しかし人はしばしば但し書きを読まない。

必ず設定してほしい項目は「インストール手順」に盛り込むと、より手順をスムーズに伝えられるようになる気がする。本当はこの施策でどれくらいミスが減ったのか測定したいのだが、あいにく「この変更後にTokusetsuが適用されたTumblr一覧」を取得する方法がないため分からずじまいである。

こうしたことを調査していくなかで、もうひとつおもしろい現象に出会った。Tokusetsu3を使っているサイトで、ページ上部に奇妙な空白ができていることがあったのだ。当初原因がまったく分からず不思議に思っていたのだが、調べていくうちに発生条件に共通項があることに気付いた。それは、HTMLを編集してトラックリスト欄を足しているサイトにだけ発生している、ということだった。空白の正体は全角スペースだった。

これが何を意味するかというと、カスタマイズ用のmetaタグをユーザーがコピペして使うとき、インデント調整のために全角スペースが書かれている。 <head> 内に全角スペースがあると、空白となってページに現れてしまうのだ。

これはまったく予想外で、かつきわめて興味深かった。それに気付いてからは、カスタマイズ方法の解説の脇に「インデントは半角使いましょう」と添えておいた。

興味深いと思ったのは、一連の内容がどうしようもなく人間くささを感じるからだ。失敗のエピソードは人間臭いほど好きだ。だが、興味深いと思うものの、インデントに全角スペースは常識が無いと笑うことはできないと思う。先日洗濯機が動かなくなって修理業者に来てもらったとき、業者の人は「傾き検知のセンサーが傾いてました」と笑わずに教えてくれた。誰にも教わらなければ、知らないものは知らないに決まっている。

ミスりにくいデザインを考えるのがデザイナーの仕事だろうが、という話もあるとは思う。が、現実では言葉を使わないと説明できない場面も頻繁にある。言葉に自信はなにもないが、ああでもないこうでもないと頭をひねるのは結構おもしろい。疲れるけど。