Kindleで読んだ。「まったく新しい歴史書」の評判はだてじゃない。
- 作者: スティーブン・ジョンソン
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2016/08/05
- メディア: Kindle版
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「ある発明が、思いがけない別の発明を連鎖的に引き起こした」事例についての本。
たぶん良さが伝わらないと思うので、第一章「ガラス」の、ほんのさわりを紹介する。ネタバレされたくない人は今すぐ買って読みましょう。
「グーテンベルクの活版印刷によって識字率が上がり、自分が遠視であることに初めて気づいた人々が大挙して眼鏡を買い求めた結果、ガラスの製造技術が向上し、顕微鏡や望遠鏡が生まれた」
うーんすごくないですか。これだけ読むとほんとかよって感じだろうけど。このように、ある技術革新が当初思いもよらなかった方向にどんどん影響をおよぼす様子が、紀元前から現代までのスケールで語られる。かつ、切り口が身近な事柄なのがいい。6つのテーマ「ガラス」「冷たさ」「音」「清潔」「時間」「光」といったありふれたイノベーションのルーツを知ることができる。書きながら思ったけど Civilization の技術ツリー眺めるのが好きな人には絶対におすすめできる。
紹介される逸話は、事象がどんどん連鎖していく意味で「バタフライ効果」に似ている。バタフライ効果は創作の題材として定番であるが、事実は小説より奇なりとはまさにこのことかと思う。だが本書で取り上げるのはバタフライ効果とはちょっと違う。より因果関係がはっきり説明できる現象、それらを著者は「ハチドリ効果*1」と呼んでいる。
全6章がいいかんじのボリュームで分割されていて、集中力が続いたのもよかった。あと大事なことを書き忘れたけど歴史の前提知識皆無でも面白く読めました。
*1:ハチドリのホバリング能力と花蜜の存在はあきらかな因果関係がある、ということから