『デザインの伝え方』読んだ。
- 作者: Tom Greever,坂田一倫,武舎広幸,武舎るみ
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2016/09/16
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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我々はただデザインするだけではだめで、関係者に意図を伝える必要がある。この「ステークホルダーにデザインを伝えること」に筆者は着目して、どうすれば効果的に伝わるかを解説したのが本書。
会議を『話す -> 質問を聴く -> 回答を返す心構えを持つ -> 返す』などのこまかいフェーズに分けて、それぞれでどのように振る舞うべきか書かれている。
全体的には、話す前に事前準備を怠らないこと、関係者とよい人間関係を構築すること、質問に隠れた真意を見つけること、などなど、普通のことを軽視せずにちゃんとやっていきましょうといった内容だった。成果物と直接関係のない準備を念入りにしても一見無駄に思うかもしれないが、どのみち関係者全員の合意をどこかで取り付ける必要があるわけで、結果的には手戻りを抑えられそう。
ほかに面白かったこととしては、
- ステークホルダーが「ボタン」の追加を要請したときには、適切な解決策はボタンではないことが多い
- よりよい解決策を提案するのがデザイナーの役目
- 会議が終わったあとに本音を言う人もいるので、会議後すぐ帰らないこと
などがあり、著者の体験談も身近に起こりそうなものが多かった。
本書にもあるけど、デザインは専門家ではない人間が堂々と口を出せる。なぜなら視覚表現は見た人に何らかの感情を与えてしまうものだからだ。そのようななかで、我々は彼らを説得しなければならない。
意図について、自分のことを振り返ってみると、デザインの意図はさすがに「ただなんとなく」以外の理由をちゃんと説明できるように備えているつもりである。基本的には、なにかしらの問題があって、それを(主に視覚的に)解決する方法を探る。ただし、常に華麗な解決ができているわけでもない。パズルみたいなもので、「こっちを動かしたら、あれが向こうに収まって、このへんは諸般の都合で控えめで」みたいなトレードオフの要素たちを画面上でこねくり回している気分になる。諸般の事情とは、「実装上の都合」「工数の都合」「あまり触ってほしくない要素だから」などが当てはまる。「そもそもこだわったところで実益が少ない」もよくある。そういう諸々の条件を含めて、できるだけベストと思われる解決策をひねり出す、というのが、デザインの意図を考えてるときの実感に近い気がする。
今週のお題「読書の秋」