そろそろイベントでも開催するか、という皆様へ
DJ・配信イベントの告知サイトを高速かつ簡単に作れるテンプレート「Kitekure」を作った。無料で誰でもダウンロードできます。
昨年のはじめに撮った写真を見返すと、仲間と楽しくイベント開催している様子が残っている。これが皆で最後に集まれたイベントだった。
そんな写真を眺めれば、イベントのひとつやふたつ、いい加減やりたくなってきた/行きたくなってきたという方も少なくないかなと思う。もちろん、安全に開催されるべきなのが前提で、そのためにさまざまな取り組みをはじめたイベントも近年は観測できる。例えば、現地の様子をライブストリーミングしたり、あるいは完全に配信のみで成り立つイベント形態もずいぶんポピュラーになってきた。
このように、これからイベントを開催したい皆様に向けて作ったのが、告知サイト作成テンプレート「Kitekure」である。
(10/18追記) 続きの記事も書いた
続編の記事を書いたので、本記事を読み終わったあとにどうぞ。
イベントに告知サイト
Kitekureとは、DJとオーガナイザーのために作られた、イベント告知サイトを簡単に作れる無料テンプレート。
告知サイトといえば、制作にそれなりの労力がかかり、比較的大きなイベント向けに作られることが多い。一方、もっと小規模なイベントやパーティでは、かわりにフライヤーをSNSに投下するか、TwiPlaなどの出欠確認サービス、クラブやライブハウスのWebサイトに載せる、といった方法がよく見られる告知形態だと思う。
Kitekureは、まさにそういった規模のコミュニティのためのものだ。ねらいは、「次は一味違った告知をキメてみたい」という主催者が、自分でオリジナルのイベント告知サイトを作れるようにすることにある。
Kitekureの特長
Kitekureの特長は大きく4つある。
告知サイトを高速に作って公開
Kitekureを使えば、これまでにないスピード感でオリジナルの告知サイトを作って公開できる。汎用的なWebサイトビルダーに比べて、はじめからイベント告知だけに最適化されたサイトを効率よく制作できる。
誰にでも操作できる
コードを1行も書くことなく、サイト制作が完了する。その理由は、サイト制作にはGoogleスプレッドシートを使うから。
Googleスプレッドシートは、操作に慣れ親んだ人が多く、覚えるのも簡単で、無料で使えるといった優れた特長を持っており、今回のニーズと一致した。所定のシートに内容を記述していくと、Kitekureのテンプレートがそれを読み取り、サイトに一発変換する。
現代のイベントに即した機能
ストリーミング配信を埋め込める動画プレイヤー、イベント開始時間までのカウントダウン、Googleカレンダーに追加ボタンなど、現代のイベント事情に即した機能たちを特別な設定無しに利用できる。
永久に無料
永久に無料。
サイトの公開も、Netlifyなどの無料ホスティングサービスを使えば無料。もちろん、ほかのサーバーにアップロードすることもできる。
ここまでの説明で使ってみたくなった方は、以下のリンクからアクセスしてほしい。
機能紹介
機能について、具体的にいくつか紹介する。
動画が貼れるヘッダ
ヘッダには好きな画像または動画を設定できる。動画にも対応した理由は、イベントの臨場感を画像以上に伝えられるからだ。
演者にVJがいらっしゃるなら、動画の扱いに長けているはずなので、ここをうまく使ってもらえるだろうという目論見もある。もしVJ不在であっても、イベントの様子をスマホ等で録画して、数秒程度の短い動画を作っておけば、次回の告知素材に早変わりする。お手軽なのでぜひ試してほしい。
カウントダウン
イベント開始時刻までのカウントダウンを標準搭載している。実は、同様のギミックをこれまで作ってきた同人誌のティザーサイトに幾度となく使ってきた。
ビジュアル的にキャッチーなだけでなく、当日「開始時刻の少し前から待機」の流れを自然とつくりだせるため、集客のうえでも非常に効果的だと経験上わかっている。
Kitekureのカウントダウンでは新機能として、タイムゾーンを考慮している。よって、世界各国からアクセスしても現地時間に合わせたカウントダウンになる。この背景には、特にライブ配信が盛んになったことが関係している。
E3のような大型イベントからローカルのごくごく小さなものまで、さまざまなイベントがインターネットで視聴できるようになった。個人的にもここ1〜2年はこうしたイベントをよく見るようになり、とても便利に感じている。なので今後も「現地開催+配信」のハイブリッド型は支持されていくだろう。そんな期待も込めて、ユーザーが特別な設定をすることなく時刻補正してくれるようにした。
外部サイト遷移ボタン
外部サイトへの誘導ボタンを置くことができる。ボタンのラベルと遷移先は設定で変更可能。
イベントによっては、チケットを事前に購入する必要があったり、出欠確認サイトで参加表明をするとディスカウントになる制度があったりする。あるいは、単にTwitchなどの配信プラットフォームに飛ばしたいこともあるだろう。
こういった手段をすでに使っているユーザーには、Kitekureに無理やり乗り換えてもらうより、Kitekureと併用できるようにしたほうが、誰にとっても嬉しいだろう。ボタンはそのためのものだ。
Googleカレンダー追加ボタン
見ようかなと思っていたイベントを忘れていて見逃したことはないだろうか。僕はしょっちゅうある。気づいたときには手遅れだった悲しみといったらないので、Googleカレンダーに一発で追加できるボタンを用意した。
ちなみにこの機能もタイムゾーンを考慮しているので、各地域に合わせた時刻でカレンダー登録されるようになっている。
ほかにも色々
このほか、無制限に追加できる演者プロフィール欄やタイムテーブル、開催概要や会場地図といった、イベント内容をきちんと伝えるための基本機能も当然備えてある。
さらに、テーマカラー(背景色 ダーク / ライトと、好きなアクセントカラー)を選べたりと、ちょっとしたカスタマイズもできる。TwitchとYouTube Liveに対応した動画埋め込みプレイヤーも標準搭載しているので、告知サイト上で直接ライブ配信を視聴することも可能。
なぜKitekureを作ったのか
冒頭で少し触れたように、僕は小さいイベントを3年ほど主催している。例によって開催延期の最中で、だからこそ、自分がいかにこのイベントへ愛着を持っていたのか考えさせられることになった。皆さんの心の中にも、きっとそれぞれの「状況が許せば今すぐにでも開催したいイベント」があることと思う。
その素振りとして、まずは配信イベントあたりから始めてみるのはどうだろうか。実は最近何度か仲間内の配信で、各自の家からDJ・VJをリレーする遊びをやっているのだけど、楽しいしかなり盛り上がる。そういった活動から、ゆくゆくはリアルイベントにまで使っていただけたら嬉しいと思い、Kitekureを作った。
なぜテンプレートなのか
自分にとってテンプレート制作は今に始まったことではない。これまでにも10年近く、特定の需要を満たすためのテンプレート的なものを作り続けてきた。だから、KitekureもWebサイトテンプレートの形態をとっている。
拙作の「Illustfolio」シリーズは、プロ・アマチュア問わず30,000以上のアーティストやイラストレーターに、「Tokusetsu」シリーズは多数のネットレーベル・同人サークル、展覧会・クラブイベントに、「Azusa」シリーズは研究者やエンジニアなどに20,000回以上ダウンロードされている。いずれも当初の予想を上回る方々が利用してくださっており、そのことに心から感謝している。そして、これらを土台に、個々のクリエイティビティが発揮された創作物を見るのも楽しみで、開発のモチベーションになっていることは言うまでもない。
Tokusetsuは現在のメジャーバージョンから5年経ったいまでも、多数のサークルの新譜に使われている。本当に有難いことだ。同時に、告知サイトへの根強い需要・関心を窺い知ることができた。
Kitekureの直接のヒントになったのも、 Tokusetsu愛用者の利用状況の調査だった。ネットレーベルがデジタルアルバムをリリースしたあと、リリースパーティーを行っていることがあった。「Tokusetsuと同程度の手間でパーティーの告知もできないか?」と考えたことが、当初のアイデアだった。
Kitekureの開発にあたり、DJ、VJ、トラックメイカー、グラフィックデザイナー、Webエンジニアといった各専門家を頼って、フィードバックを得る機会に何度か恵まれた。どのフィードバックも有益なものばかりで、多くの知見を学ぶことができた。できる限りプロダクトにも反映したつもりだ。
ぜひKitekureを使って、オリジナルの告知サイトを作ってみてください。皆さんにとって楽しく、そして安全なイベント開催の一助になれば幸いです。