丁度Steamサマーセールも始まったしな
いつもどおり2020年4月から6月までにプレイした・プレイしているゲームの感想をまとめる。
保護者体験プログラム
兄弟の逃避行を叙情的に描く『Life is Strange 2』。一見ティーンエイジャーの話にみえるけど、蓋を開けると実際は疑似親子の物語だった。前作とぜんぜん違うじゃん! と憤るユーザーが出るのもわからなくもない。
不測の事態から警察に追われる身となった兄弟に様々な危機が襲いかかる。だがプレイヤーである兄は臨時保護者の立場でもあるので、道徳的に振る舞って弟を健全に成長させなければならない。そう考えると、The Last of Us や God of War のような「父親もの」の系譜の変則バージョンと個人的には受け取った。こちとら父不在で一文無しの未成年二人だけど。だから彼らにとって普通の社会を生き抜くだけでもサバイバルであり、ほかのゲームのようになにも世界崩壊の危機を描かずとも充分危機的な話が成立する。
ゲーム中盤、主人公の兄は事故であるものを失う。弟とは対照的に自分は肉体的に衰えていくところに父ゲー感が一層強まった。また、この失ったものが自分にとって「なくなったら困るもの」最上位に位置しているもので(だから開発者は意図してそういうストーリー展開にしたのだろう)、僕はそこで共感メーターが振り切れた。
前日譚にあたる無料のサイドストーリー『The Awesome Adventures of Captain Spirit』を事前に遊ぶのを忘れずに。
法廷”前”バトル
『Legal Dungeon』 は警察官となって捜査書類を作成するゲーム。前作のスマホ覗き見ゲー「Replica」、来月リリースの新作「The Wake」とあわせて「罪悪感3部作」と開発者が銘打つように、本作もまさに倫理観をじわじわ侵食されるような不気味さとやるせなさを味わうこと請け合い。
被疑者尋問パートは「ダンジョン」としてコマンド式戦闘ふうに描かれ、法律や証言を照らし合わせながら、最終的に起訴するかしないかのシナリオに分かれていく。しかしどの事件もすぐに白黒つけられるものでなく、はっきり言ってこじつけで逮捕されたような人ばかり。だからといって起訴しない判断ばかりしていると、点取り主義の警察組織ではクビになってゲームオーバーになる。ひとの人生がかかっている時に自らの保身が頭にちらつく、実にいやらしい仕掛けになっている。
またダンジョンは何度でもやり直して結果を変えることができる。それ自体が「厳格に定義された法も解釈ひとつでどうとでも恣意的に運用できる」ことを皮肉っているんだろうな多分。
フェチの洪水
絶海の孤島! 洋館の謎! 私立探偵! 吃音持ち! 三白眼! 片目隠れ! 肋骨! てな感じで 『シロナガス島への帰還』 は作者の趣味を原液で飲んでいるような強烈な体験だった。自分の記憶している限りすべての立ち絵とイベントスチルに「目パチ」のアニメーションがあるのも、やりたいことに忠実な感じがガンガン伝わってきて最高。
中盤 DEAD END から抜け出せずちょっとハマったけど、手に汗握る攻防の果てに無事エンディングを迎えられて大満足。プレイ中に疑問だったタイトルの『シロナガス島 ”への” 帰還』ってなんで ”からの” じゃないんだろ? と思っていたのも真相が明かされて納得。まんまとミスリードに引っかかった。
あともうひとつ、先日アップデートで解像度が倍になった。まじで驚いた。高解像度になる前にクリアしたのでざっとしか確認できていないが、単純なアップスケーリングでなくものすごくキレイになっている。これからプレイする人がうらやましい。
地域密着型ご当地ホラー
フリーゲームの『ビフォー・アライビング・アット・ザ・ターミナル』、子供時代から大学生までばらばらの時系列を追っていくと、不思議な出来事たちが最終的に一つの線に繋がっていくのに夢中になった。
ぼんやり考えていたことを他の人がうまく言語化してくれると「そうそう、そうなんだよ」とある種のスッキリ感をおぼえる。このゲームのシナリオが強く印象に残った理由は、それが起こった頻度が他のゲームの比じゃなかったからだ。自分の子供の頃なんて正直ほとんど忘れていたが、読むうちに確かに自分にもそんな記憶があったような気がしてくる。舞台である筑波とストーリーが切っても切り離せない関係にあるのも私小説っぽくてまた良い。ご当地ホラー。どっきり的なホラーではないのでリラックスして読める(というか先の『シロナガス』のほうがよっぽど怖い)。
すっかりハマってしまったので前作『アルティメット・ノベル・ゲーム・ギャラクティカ』も1日で読んだ。「並行世界 ✕ メタい構造 ✕ 創作賛歌」の大好物3連コンボで個人的にはこちらのほうが刺さり度は高かった。どっちも面白いんだけど!
『
監禁生活
身代金目当てに誘拐されてしまった主人公と、誘拐犯の少女との奇妙な関係を描いた『A Light in the Dark』。
少女は主人公の父親に身代金を要求するが、家族の危機より仕事が大事な父は一向に応じない(ひどい)。果たして金は支払われるのか? はたまた脱出を企てるのか? みたいな話。主人公は両手両足を縛られ監禁されてしまっているので、1つの部屋の中だけで物語が展開される。こういうワンシチュエーションものっていいよね。重苦しく閉塞感のある雰囲気が少女の心情と重なる。
若者の貧富格差がストーリーに組み込まれる社会派の側面もあるが、「先入観から生まれるすれ違いと、対話による歩み寄り」が描きたかったことかなと思った。これも異文化理解というホットなトピックに繋げられるからやっぱり社会派か。
主題とは関係ないが、ちょくちょく時限式の選択肢が現れて、制限時間もかなり短いのが厳しかった。あきらめて攻略情報見てしまった。
このほか期間中に遊んだゲームはいくつか個別記事を書きました。